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こすぎ法律事務所
弁護士 石坂 想
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相続問題
被相続人が有していた相続財産について,一定の割合で承継することを,一定の相続人に保障する制度です。
相続人の側からみると「最低限の相続分」を確保するために機能している制度といってよいでしょう。
ちなみに遺留分に服さずに被相続人による自由な処分に委ねられている部分のことを「自由分」というのですが,こちらの用語を使用する機会はほとんどありません。
遺留分の割合については,民法で定められています。
・ 原則として法定相続分の2分の1
・ 父母だけが相続人の場合(被相続人に配偶者も子もいない場合),法定相続分の3分の1
・ 兄弟姉妹には遺留分がない。
① 遺留分減殺請求の請求権者
遺留分権利者となる相続人は,配偶者、子(代襲者も含む)、直系尊属です。
兄弟姉妹については、第3順位の法定相続人ではありますが、遺留分権利者ではありません。
② 遺留分減殺請求の意思表示
遺留分は、黙っていても当然に利益が貰える権利ではありません。欲しいと思う人が積極的に行使しなければなりません(裏面から言いますと,遺留分の主張をするかどうかは個々の遺留分権利者の自由な意思に委ねられています)。
遺留分を主張する場合には,遺産を取得しすぎている人に対して,「私には遺留分があるので遺留分を返してもらう意思があります。」という内容の通知をし,意思表示をすることが必要です。
この意思表示には消滅時効がありますので,注意しなければなりません。具体的には,自分の遺留分が侵害されていることを知ってから1年間です。
ご相談では,葬儀のあとに遺言を見せられて知った…という方が非常に多いです。
また被相続人が死亡してから10年間経過した場合も行使できなくなります。
★私たち夫婦には子がなく,それぞれの兄弟が相続人となると思われます。どのような準備をしておけばいいのでしょうか。
兄弟姉妹には遺留分はありませんが,相続人にはなり得ます。子や親のいない夫婦の場合,遺言を作成しないでいると,相続が発生した場合,配偶者のほかに兄弟姉妹も相続人となります。配偶者に全ての遺産を相続させたい場合には,その旨の遺言書を書いておく必要があります。こうしておけば,兄弟姉妹には遺留分がありませんので,減殺請求をうけることもあり得ません。
(1)最高裁判例の示した計算方法
遺留分侵害の具体的な計算方法については,最高裁判所の判例があります。
「遺留分の侵害額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに法定の遺留分割合を乗ずるなどして算定した遺留分の額から、遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定する。」とされています(最高裁平成8年11月26日判決)。
何のことかよくわからん!ですが,もう少し細かく分析すると,
①被相続人の遺産(亡くなった時点で持っていた財産)に生前に贈与した財産を加える。
②被相続人の借金を差し引く(借金がなければ何も差し引きません)
③遺留分割合をかけ算。
④③によって遺留分請求者の遺留分額が出るので,そこから遺留分請求者が得ていた生前贈与等を引く
⑤遺留分請求者が負担する借金があれば,それを足す。
ということになります。
遺産の金額×遺留分割合,で簡単に結論が出ればよいのですが,通常の事案ですと、不動産の評価の問題、債務の問題、特別受益の問題などがからみ、非常に複雑になります。
★生きている間に被相続人が財産を全部贈与した場合は遺留分の請求はできるのか
相続開始前1年以内になされた贈与は特に条件なく加算されます。それ以前の贈与についても,遺留分を侵害することを知りながら贈与を受けた場合には,加算されます(民法1030条)。
「え?じゃあ結果的に1年持ちこたえれば遺留分なし?」ということになるような気がしますが,相続人に対する特別受益にあたる贈与については,特に時期を問わず,加算されます。現実的には相続人に対する生前贈与が問題となることが多いですので,遺留分侵害の事件については,「生前贈与があったかどうか」「それが特別受益に該当するかどうか」という点が主に争いになります。
★生前贈与の金額は具体的にどのようにプラスするのか。
相続人に対する生前贈与等はかなり昔のものであっても加算されることになります。
贈与が金銭で行われた場合には,贈与時の金額について亡くなった時点での貨幣価値に換算して加算することになります(物価指数により計算します)。
贈与が不動産で行われた場合,評価は難しいです。贈与時の時価を算定し(これ自体難しい),物価指数で調整するという手法が比較的多いかと思います。
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