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弁護士 石坂 想
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親子関係問題
父が亡くなる直前に認知をしていたが,寝たきりでもう話もできなかったはずですし,そもそも本当に父の子なのかも分かりません…認知は本当に有効なのでしょうか。
亡くなる直前に養子縁組をしていたことが分かりましたが,他の子には全く知らされていませんでした。養子縁組が無効となる場合はありますか。
私には娘と息子が1人ずついます。突然,妻から「長女はあなたの子だが,長男は違います」と言われました。当然,離婚も考えたいです。また私がなくなった後,娘と息子が同じように相続をすることになるのでしょうか。
婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもは,婚姻中の夫婦間にできた子(嫡出子)と推定されます。本当は他の男性との間に生まれた子どもであっても,出生届を提出すると夫婦の子どもとして戸籍に入籍することになります。
この場合に父子関係を否定するためには,嫡出否認の訴えによることになります。
嫡出否認の訴えは,①訴えを提起できる原告が夫(元夫)に限られており②子の出生を知ったときから1年以内に提訴しなければならない,という厳しい要件があります。
従って,もっともよくありそうな「子どもが小学校になった際に妻から突然『あなたの子じゃないの…』と言われた」…というような場合は,嫡出否認の訴えはもう提訴できません。
もっとも,実務上,形式的には嫡出推定を受ける場合であっても,夫婦の性交渉によって生まれたものではないことが明らかである場合には,夫の子とは推定されません(これを「推定の及ばない子」と呼んでいます)。
推定の及ばない子の父子関係を争う場合,親子関係不存在確認の訴えによることができます(実際の順序としては,親子関係不存在確認の訴えの中で「推定の及ばない子」であるとの主張立証をして,それについての裁判所の判断が示されるということになります。)。
親子関係不存在の確認の訴えは,①確認の利益が認められれば誰でも提訴できる②期間制限なし,という点で,嫡出否認の訴えとは大きく異なります。
実際の手続としては,まず調停を申し立てることが必要です。当事者の間に合意(父子関係がないという合意)がまとまった上で,家庭裁判所が必要な事項を調査した上,合意に相当する審判がなされます(家事事件手続法277条)。親子関係については真実に合致している必要があり,当事者間で自由に処分できる類のものではないため,いくら当事者間で合意ができていても,裁判所がその合意が間違っていると判断した場合には,審判はできません。
調停で解決できない場合には,親子関係不存在確認の訴えを提起することになります。
*どのような場合に「推定が及ばない子」とされるのか
夫婦の性交渉によって生まれたものではないことが明らかである場合には夫の子とは推定されない,と書くと簡単なようですが,実際の判断は単純ではありません。
この推定が及ばない場合をどう考えるかについて,現在の判例は,外観説と呼ばれる考え方を採用しており,外観上夫による懐胎が不可能であることが明らかな場合に限って民法772条の適用が及ばないとしています。
具体的には,夫が刑務所に入っていた,長期間海外赴任や別居中でその間接触がなかった…というような場合に限られます。
最近よくある「DNA鑑定をしたら実際の血縁関係はなかった」という場合は外観上夫による懐胎が不可能であることが明らかであるとは言えず,従って民法772条による推定が及ぶということになります。誤解が多いところですので,ご注意ください。
法律上の実父子関係が発生する場合としては,嫡出推定のほか,認知の場合があります。この認知の効果を争う方法は,以下の通りです。
①認知が真実に反する場合
真実に反する(生物学上の父子関係がない)にもかかわらず認知がされた場合は,認知は無効です。この場合,子その他の利害関係人は,当該認知について認知無効の訴えを提起することができます。
*認知者自身が認知無効の訴えを提起することができますか
利害関係人に認知者本人が含まれるかという問題です。これについてはできないとする見解もありますが,一般的には肯定されています。
*血縁上の親子関係がないことを知りつつ認知した父親でも,認知の無効を主張することができますか
生物学上の父子関係がない認知は無効ですが,父親がこれを知りつつ認知した場合でも、後で認知無効を主張できるか、という問題がありました。
このような場合,認知無効の主張を認める見解と,子どもの安定性等を理由に無効主張を認めない見解があり,いずれも有力とされていましたが,近時,最高裁は「父親が血縁関係のないことを認識して認知したとしても,原則として,認知の無効を主張することができる」と判示しました(最三小判平成26年1月14日)。
もっとも,権利濫用とされることはあり得ますので,実際の事案の解決に当たっては個別的な事情が重要となると思われます。
普通養子縁組を解消する手段としては離縁手続を取ることになります。
離縁手続は離婚手続に類似しています。
離縁事由は法律で定められていますが(民法814条1項1号及び2号),実際には離婚と同様に「縁組を継続しがたい重大な事由がある」(民法814条1項3号)として離縁を求めることがほとんどです。
また,協議で解決できない場合には,まず調停を申し立てる必要があります。
*「縁組を継続し難い重大な事由」はどのように判断されるのか
これについては,客観的破綻の度合いと縁組の目的などの縁組成立事情とを相関的に勘案して判断されるとされています。
離婚の場合とは異なり,縁組の目的が考慮されます。
具体的には,暴力行為や長期間の没交渉状態等が該当します。
実務上よく見られるのは婿養子夫婦の離婚(例えば,夫が妻の実両親と養子縁組をしていたが,その子供夫婦が離婚した場合)によって,離縁もするというケースです。これは,通常は「縁組を継続し難い重大な事由」と判断されるでしょう。もちろん,離婚後も何ら問題なく一緒に生活しており,客観的に破綻していないような事案は別ですが。
①養子縁組については,当事者双方に縁組意思があることが要件とされています。
縁組意思とは「真に養親子関係の設定を欲する効果意思」をいうとされており,この意思がない養子縁組は当然に無効です。
養子縁組の要件としては,届出がなされること,届出意思の存在,といった点も挙げられますが,実際に養子縁組無効確認を求める事案は,そのほとんどが「届出時に当事者双方またはどちらか一方に縁組意思がなかったこと」を理由とするものです。
②「どのような場合に縁組意思がなかったと判断されるか」
この点については,縁組意思が実質的に判断されるため,統一的な判断基準があるわけではありません。
これまでの裁判例で縁組意思がなかったとされた例を挙げると
・芸者や娼婦として働かせるための養子
・婚姻に際して実家の家の「格」を引き上げるための縁組
などがあります。
また,そもそも意思能力がなかった場合も,縁組意思がないとされます。
現在の高齢化社会を念頭に置くと,この類型の争いが今後増加するように思われます。
③「手続」
養子縁組の無効は,原則としてまず家庭裁判所に調停の申し立てをしなければなりません(調停前置主義)。
もっとも,養子縁組の無効が調停で解決することはあまり考えられません。
基本的には,訴訟を提起することとなると考えておいたほうがよいと思われます。
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